七色インコ [本の紹介]

一間世界史に関係ないように思えるかもしれませんが、本日は、手塚治虫先生の漫画『七色インコ』をご紹介したいと思います。

これは、「代役専門」という不思議な俳優の七色インコが、いろいろな劇で代役をしつつ、本来の仕事である「劇場泥棒」などを行っていくという話です。各話読み切りで、それぞれの話が有名な舞台作品をモチーフにしています。そこに、世界史でも出てくる作品が少なからずあります。

例を挙げてみましょう。「ハムレット」(シェイクスピア)、「どん底」(ゴーリキー)、「人形の家」(イプセン)、「検察官」(ゴーゴリ)、「誤解」(カミュ)、「じゃじゃ馬ならし」(シェイクスピア)、「悪魔の弟子」(バーナード=ショウ)、「タルチュフ」(モリエール)、「ピグマリオン」(バーナード=ショウ)、「王女メディア」(エウリピデス)、「ベニスの商人」(シェイクスピア)、「オセロ」(シェイクスピア)などが扱われています。

世界史ではあまり触れませんが、「ガラスの動物園」「十二人の怒れる男」(陪審員の話で、むしろ現社や政経の関連作品。推理としても面白い)「RUR」(初めてロボットが登場したというSF)、岩波文庫有)「シラノ=ド=べルジュラック」(ブラック・ジャックでもモチーフにされたことがある)「三文オペラ」(ちょっと前に光文社古典新訳で登場)などの傑作も扱われています。

これらのモチーフになった作品は、作中で演じられていたり、物語が劇作のあらすじ(の一部)に沿って展開したり、という風な形で登場します。基本的にすべてあらすじが何らかの形で紹介されているので、その点では知識になると思います。

個人的にとくにおもしろかった、または、印象に残っているのは、「俺たちは天使じゃない」「作者を探す六人の登場人物」「十二人の怒れる男」「ガラスの動物園」(後者2つは原作の印象のためかもしれない)。

短編集ですから、それぞれ好みや出来の差はあります。私もすべてが均一に面白かった、とは申せません。ですが、いくつかは面白いと思える話に出会えると思います。原作の魅力もあるでしょう。

もし、興味を持った作品があれば、そこからさらに原作を読んでみるとよいのではないか、と思います。舞台や映像で見るのも素晴らしいですが、敷居が高いかもしれません。原作の日本語訳は、たいてい文庫で廉価にて手に入れることができるはずです(「悪魔の弟子」は見かけたことがない)。




七色いんこ(1) (手塚治虫文庫全集)

七色いんこ(1) (手塚治虫文庫全集)

  • 作者: 手塚 治虫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 文庫




七色いんこ(2) (手塚治虫文庫全集)

七色いんこ(2) (手塚治虫文庫全集)

  • 作者: 手塚 治虫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 文庫





七色いんこ(3) (手塚治虫文庫全集)

七色いんこ(3) (手塚治虫文庫全集)

  • 作者: 手塚 治虫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 文庫





nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。