ハイネ詩集 [本の紹介]

突然ですが、「愛を語る詩人」といったら誰が思い浮かびますか?難しいですね。

日本の「四季の歌」という歌に「愛を語るハイネのようなぼくの恋人」というフレーズがあります(1)。愛の詩人ハイネというイメージがあるのでしょうね。

そんなわけで本日は、ハインリヒ=ハイネの『ハイネ詩集』(新潮文庫)をご紹介したいと思います。

残念ながら?世界史ではハイネは「愛の詩人」というより、「革命詩人」として知られています。カール=マルクスと交友関係があったり、社会批判を繰り広げたりしたからです。

そんな彼はどのような詩を書いたのでしょうか?彼の代表作には『歌の本』『冬物語』などがありますが、今日はそれらからいくつかの死を選んで日本で編纂した『ハイネ詩集』を見てみましょう(2)。

いろいろな詩がもちろんありますが、ドイツロマン派的な死への憧れを感じさせる詩が多く見られます。愛が出てくる詩もありますが、恋愛が正面から描かれたものは少ない。夜の景色、海、月など確かにロマンティックなモチーフの作品は多いです。

ちなみに、ハイネの詩のいくつかは、同じくロマン派のシューベルトによって曲がつけられ、『白鳥の歌』に収録されています。

最後に、詩を引用してみますので、ぜひ雰囲気を感じ取ってみてください。

「月の光に」
月の光に海は凪ぎて
波のささやく声もひくし
心に重き愁い湧きて
古き調べをわれは想う

古き調べはわれに語る
海に沈みし古き町より
鐘と祈りのひびき鳴りて
海の底より聴こえ来ると

鐘と祈りの音ひびくとも
沈みし町をいかで救わん
ひとたび海に沈みしもの
再び帰ることはあらじな(3)




(1)私は世界史で勉強するまでハイネは女性だと思っていましたが、男性です。

(2)実際には『ハイネ詩集』は『歌の本』『ロマンツェーロー』唐から抜粋されており、『冬物語』からはない。『歌の本』や『冬物語』もチャンスがあったら紹介したい。

(3)片山敏彦訳『ハイネ詩集』新潮社、1951、p.142 (新潮文庫)。


ハイネ詩集 (新潮文庫)

ハイネ詩集 (新潮文庫)

  • 作者: ハイネ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/02/22
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。