少年十字軍 [本の紹介]

少年十字軍は、世界史用語としては細かい部類に入るかもしれません。まず、簡単に紹介します。

十字軍は、聖地エルサレムを取り返さんとするキリスト教徒の遠征ととらえればよいと思います。11世紀から(諸説あるが)7回にわたって行われた遠征で、勇猛な英国のリチャード獅子心王や寛容で知られるイスラームの英雄サラディンなどの人物が活躍しました。

そんな中で、13世紀ころ、子供たちが聖地に向かうという出来事が起こりました。それが少年十字軍です。

前置きが長くなりましたね。本日は、この出来事を小説化した皆川博子さんの『少年十字軍』という本を紹介したいと思います。

作品は、ルーという野生の少年が登場するところから始まります。彼は、少年エティエンヌ(史実のようです)たちの少年十字軍にあい、彼らと同行することになります。

途中で彼らは、何かが隠されているような修道院、同じく少年十字軍を率いるライバル?のレイモンとの出会い、様々な苦難や欺瞞などを経て、聖地エルサレムを目指していきます。その結末は??

史実では、少年たちは奴隷として売り飛ばされてしまったようなのですが、この作品ではどのような結末が待ち受けているでしょうか。

本書は、特に世界史的な予備知識はなくても読み進めることができると思いますし(第4回十字軍やギリシア火を知っていると少し展開が読めるかもしれない)、また、読んだからといって世界史の知識が飛躍的に増える、というものでもありません。むしろ、群衆運動や煽動のメカニズムに関する洞察が深まるかもしれません。

小説らしく途中で事件がおこったり、誰かが怪しいぞっ、というミステリ的興味もあります。また、中世の雰囲気は感じ取れるかもしれません。十字軍に詳しい人も、そうでない人も、ぜひ。


([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)

([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)

  • 作者: 皆川 博子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫



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