あのころは、フリードリヒがいた [本の紹介]
本日は、岩波少年文庫の『あのころは、フリードリヒがいた』をご紹介したいと思います。
本作は、ナチスが台頭してきたころのドイツを舞台に、描かれた作品です。役者解説によると、著者の体験や見聞に基づいた物語であるようです。
これは恐ろしい作品です。決して扇情的なところがなく、むしろ出来事を描写したというような筆致なのですが、狂気が蔓延していく空気が見事に描かれています。
誰が悪いとか、どの出来事がきっかけとか、そういう様子ではなく、昨日までできていたことがだめにされたり、いつからか人々の接し方が変わってきてしまう…バスで寝ていて目的地に着いてしまうように、我々の社会は狂気に包まれてしまうことがよくわかる。そういったことが、同じアパートに住むユダヤ人への人々の対応、ユダヤ人への職場や町の対応の変化、ついに襲われたユダヤ人の医院・・・などの話を通して浮かび上がってきます。
決して後味がよい作品ではありませんが、「ナチスドイツの時代を知ってみたい方」「社会がどのようにしておかしくなっていくかを考えてみたい方」など、一読の価値は大いに、大いにあります。
また、ユダヤ教に関する知識・理解を深めることもできます。この本ではユダヤ教の祭やしきたりなどについて、詳しい解説がなされているからです。「ラビ」「安息日」「ダビデの星」等々に解説がつけられています。
さらに、巻末に年表がついているのですが、これがまたすごい。一年どころではなく、数日ごとに、ユダヤ人の権利が削減されていっているのがよくわかる。「ユダヤ人の公の交通機関の使用禁止」「小鳥の飼育の禁止」などなどがどんどん定められていくのです。
いろいろな方に、広く勧めます。
本作は、ナチスが台頭してきたころのドイツを舞台に、描かれた作品です。役者解説によると、著者の体験や見聞に基づいた物語であるようです。
これは恐ろしい作品です。決して扇情的なところがなく、むしろ出来事を描写したというような筆致なのですが、狂気が蔓延していく空気が見事に描かれています。
誰が悪いとか、どの出来事がきっかけとか、そういう様子ではなく、昨日までできていたことがだめにされたり、いつからか人々の接し方が変わってきてしまう…バスで寝ていて目的地に着いてしまうように、我々の社会は狂気に包まれてしまうことがよくわかる。そういったことが、同じアパートに住むユダヤ人への人々の対応、ユダヤ人への職場や町の対応の変化、ついに襲われたユダヤ人の医院・・・などの話を通して浮かび上がってきます。
決して後味がよい作品ではありませんが、「ナチスドイツの時代を知ってみたい方」「社会がどのようにしておかしくなっていくかを考えてみたい方」など、一読の価値は大いに、大いにあります。
また、ユダヤ教に関する知識・理解を深めることもできます。この本ではユダヤ教の祭やしきたりなどについて、詳しい解説がなされているからです。「ラビ」「安息日」「ダビデの星」等々に解説がつけられています。
さらに、巻末に年表がついているのですが、これがまたすごい。一年どころではなく、数日ごとに、ユダヤ人の権利が削減されていっているのがよくわかる。「ユダヤ人の公の交通機関の使用禁止」「小鳥の飼育の禁止」などなどがどんどん定められていくのです。
いろいろな方に、広く勧めます。
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