興味深い布陣 [本の紹介]

光文社古典新訳文庫、というシリーズがある。古典を今使われているであろう言葉で訳し、古典を現代の読者に届けていこうという素敵なシリーズです。

私も、このシリーズで初めて読んだ世界文学がいくつかあり、大変お世話になっているシリーズです。

そのこれからの刊行予定に、期待させる文献がある。1つは、ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』である。去年のセンター倫理に「言語ゲーム」の選択肢で登場したことをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。論述形式の独特さが有名なのですが、岩波文庫で立ち読みしてみてとても読めそうにないので敬遠している作品です。古典新訳シリーズは不思議ととても読みやすいので(1)、もしかしたらヴィトゲンシュタインも読めるかも、と今から期待しています。1月刊行予定。

もうひとつは、カール=マルクスの『賃労働と資本/賃金・価格・利潤』。こちらは岩波文庫でもそれなりに読みやすかったですが、今世に問う翻訳として期待できる。「詳細な解説」が付くらしい。もしかするとゆくゆくは新訳シリーズで『資本論』を出そうとしているのではないか、と思わせる。

最近値上がりしているが、高校生や大学生の皆さんが古典に触れるによいシリーズだと思っています。ドストエフスキー、魯迅、フロイト、スタンダール、ダーウィン・・・世界史に出てくる多くの作品がすでに訳されています。


近刊案内のウェブページ
http://www.kotensinyaku.jp/nextnumber/


(1)たとえば、カントの作品は岩波に比べて圧倒的に読みやすかった。翻訳に疑問の箇所があるという話もあるが、残念ながら私のドイツ語の能力ではいかんともわからない。ドイツ語をマスターした人は調べてみるとよいかもしれません。
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