5分で読むパレスチナ問題 [現代史]

聖地イェルサレムがあるパレスチナは、ユダヤ人たちにとっては神との約束の地でありました。ムスリムたちにとっても、ずーット、オスマン帝国の時代までも支配していた場所です。

第一次世界大戦のとき、イギリスは、敵側に連合したオスマン帝国をけん制するため、アラブ人たちとフサイン=マクマホン協定を結び、アラブ人に「パレスチナを渡す代わりに、協力してね」といいます。さらに、ユダヤ人たちから資金を得るためにバルフォア宣言を出し「パレスチナはユダヤ人に渡すから、協力してね」といいます。これは矛盾しています。

そのため、大戦後にパレスチナを誰のものにするのかという問題が起こりました。国際連合はパレスチナ分割案を出し、両方の人々がパレスチナで共存する方向性を打ち出します。その後、ユダヤ人たちはそこに、イスラエル国を建国します。しかし、アラブ側はそれを認めませんでした。それどころか、1948年、反対して攻めて来ました。これを第一次中東戦争(パレスチナ戦争)といいます。この戦争自体は停戦するのですが、パレスチナ問題そのものに決着がついたわけではないし、難民問題は深刻になりました。

1960年代には、排他的になっていたユダヤ人を批判するパレスチナ解放機構が成立し、民衆レベルでも、イスラエルに対する投石などによる抵抗運動(インティファーダ)が起こり、解決の兆しは見えません。

1990年に入ってやっと、アメリカ(クリントン大統領)の仲介(石油の絡みもあったと思われるが)で、イスラエルを認め、かつ、パレスチナ解放機構の自治も認めるという、オスロ合意が締結されました。

しかし、一部のテロ行動や双方の領地拡大の思惑等があって、共存までは道遠し、というのが現状のようです。
なお、第2次~4次の中東戦争については、どこかでエジプト現代史の稿をとってまとめたいと思います。
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たかと

年末に質問です!!センター過去問の復習で、イスラーム世界の文化史で気になったことが一つ。彼女(教科書)のP125で9世紀になってアリストテレス哲学がイスラーム世界に影響を与え、10世紀には神秘主義がイスラームに影響を与え始めたが、神学者がギリシャ哲学を取り入れ、合理性と客観性を帯びたスンナ派神学体系を気付いた、と書かれています。ここで質問。何故スンナ派だけが合理性、客観性を帯びたのですか?僕の教科書や辞書を読んでの推測では、スンナ派はムハンマドの言行に従い、共同体の維持を主題としているのですが、シーア派はアリーの子孫やムハンマドの直系がカリフに相応しいとしている(かな?)、というように、カリフについて重点を置いているように思えます。したがってコーランに触れる機会がシーア派より多いスンナ派において学問体系が作られたと思えます。途中間違えがあるかもしれないですが、よろしくお願いします。
by たかと (2011-12-31 11:39) 

morning-trap-ice

たかと様へ
確信はありませんが、その記述は「シーア派が合理性、客観性を持たなかった」という意味ではなく、あくまでスンナ派神学の特徴が合理性、客観性にあったという意味だと思います。

イスラーム神学が発展した理由には、ギリシア思想の流入のほかに、どうしても『クルアーン』を解釈、説明しなおさなければならない事情というものがありました。

10世紀というと、『クルアーン』成立からなん百年もたち、しかも、いままでのアラビア半島以外にも領土が圧倒的に広がりました。その統治下には、当然いろいろな民族がいます。いろいろな習慣があります。

そういったものを『クルアーン』に照らし合わせてどう考えるか、その地域の風習とどう折り合いをつけるか、そういった問題に対処するために、『クルアーン』解釈のための学問が発展してきた、という面があります(たとえば、多神教と折り合いをつけるために、それらの神をアラーの表れと解釈する学派もないわけではない)。

ですから、現地の人にもわかり、ほかのムスリムから同意されるだけの合理性、客観性が必要だったのだと思います。イベリア半島から東まで広がっていたスンナ派王朝において、特にその営みが必要だったのではないでしょうか?

付け加えると、決してシーア派の神学が発展しなかったわけではありません。シーア派には、イスマーイール派、十二イマーム派などいろいろな分派があります。それらは教義解釈上の相違点から生まれたものです。それだけ学問が発達していることの証です。(宋でなければ、いろいろな解釈は生まれないでしょう)。
by morning-trap-ice (2011-12-31 16:00) 

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